ロバのティールーム >> ロバのコラム目次<時系列> >> ロバのコラム_2001/02/13
歴史について(2) 2001年2月13日 火曜日 (快晴)
「歴史とは何か」なんていう本があったっけな。たしか「カー」という英国人が書いていたっけ。慶応通信を始めてすぐにとった科目に史学概論があった。その課題図書がその本であった。大学で歴史を学びだして初めて、歴史について、つまり「歴史というもの」もしくば「歴史という学問」そのものについて問うた。それまではそんなことをしなかったかも知れない。よくは覚えていないが、少なくともそのような問いを真剣に考えたことはなかったかもしれない。この問いは非常に重要な問いだ。つまりこの考え方一つで、歴史対象に対する接し方が決まってしまうから・・・。しかし、これほど重要なことに気がつかなかった。それは自己流ののなせるもの、やはり通信を始めてよかったと思っている。
ま、それは(歴史そのものに対する問いは)通信だけの影響ではないのは確かだ。同じ頃に参加し始めた哲学サークル(ポスクラのこと)の影響も大きい。この中で、ぼくは「客観」に対する疑いの眼を得ることが出来た。つまり「視点の重要性」のこと。視点が違えば、一つの現象を様々に捉えうる(解釈できる)、ということ。理系にどっぷりだった頃のぼくは純粋な客観信奉者だった。客観的事実は必ず解明できる、同じ系を作れば必ず同じ結果が起きる、そんな考え方を当たり前の事実として捉えていた。そしてそんなフラスコの中の化学変化を眺めるように、歴史も眺めることができる、と本気で考えていた。いや疑問の余地がなかったから、考えていなかったのが本当だ。目の前で捉えられたとおりの歴史を自分は知りうることが出来る、そんな19世紀までの素朴な歴史観を持ってぼくは歴史を眺めていたのだ。しかし、5年前がそんなぼくの転換点となった。(つづく)